1on1の後、こんなことを思ったことはないだろうか。

「今日も進捗確認で終わってしまったな」

ネットで検索すれば「進捗確認で終わらせるな」「部下の話を聞け」というアドバイスが並ぶ。私自身、上司としても部下としても1on1を経験してきたが、気づけば進捗確認の場になっていることは多かった。

でも最近、こう思うようになった。進捗確認になること自体は、そんなに悪いことなのだろうか?

1on1は「小さな締め切り」

心理学に「締め切り効果」という概念がある。人は締め切りがあると、それに向けて動き出す。逆に締め切りがないと、いつまでも後回しにしてしまう。

毎週の1on1は、ある意味で「小さな締め切り」だ。「次の1on1までに、これは終わらせておこう」と思う。上司に「先週から進捗ありません」と言いたくないから、何かしら動こうとする。

たとえば、プロジェクト化されていない技術調査のようなタスク。誰にも催促されないし、期限も曖昧だ。こういうタスクは、放っておくと永遠に後回しになる。でも「次の1on1で何か報告したい」と思うと、少しずつでも手をつけるようになる。

振り返ると、1on1がなければ後回しにしていたタスクがいくつもあった。1on1が進捗確認の場になっていたからこそ、私は動けていたのかもしれない。

週に一度、確実に話せる

もう一つ気づいたことがある。

上司が忙しいと、普段はなかなか話しかけられない。「今いいですか?」と聞くタイミングを見計らっているうちに、一日が終わる。相談したいことがあっても、後回しにしてしまう。

でも、1on1の時間が決まっていれば、確実に話せる。たとえ話す内容が進捗確認だったとしても、「週に一度、必ず上司と話す時間がある」という安心感がある。

普段から気軽に話せる関係性があれば、1on1は不要なのかもしれない。でも現実には、忙しさやタイミングの問題で話せないことが多い。定期的に時間を確保すること自体に、価値があるのだと思う。

それでも物足りなさは残る

とはいえ、進捗確認だけで終わり続けると、物足りなさを感じるのも事実だ。

以前、キャリアについて相談したいことがあった。でも、進捗の話をしているうちに時間が来てしまい、切り出せなかった。「また来週話そう」と思ったが、翌週も同じことが起きた。結局、そのまま流れてしまった。話そうと思って準備していたのに話せない。これは地味につらかった。

進捗確認が悪いのではない。「進捗確認しかしない」構造が続くと、それ以外の話をする隙間がなくなる。1on1でしかできない話が、いつまでもできないままになる。

月曜から試せること

進捗確認を否定する必要はない。その上で、時々「進捗確認以外の時間」を意識的に作るのがよいと思う。

私が試しているのは、1on1の最後の5分を「それ以外の話」に使うことだ。

「進捗以外で、最近気になっていることはありますか?」

この一言を加えるだけでいい。毎回深い話になるわけではない。「特にないです」で終わることも多い。でも、たまに「実は…」と話が出てくることがある。逆に、最後の5分のつもりが盛り上がりすぎて、時間をオーバーすることもある。それはそれでいい。その機会を作っておくことが大事だと思う。

上司の立場なら、自分から聞く。部下の立場なら、「一つ相談していいですか」と切り出す。進捗確認の流れを壊す必要はない。最後に少しだけ、別の話をする余白を作る。

あなたの1on1、最後の5分に余白はあるだろうか。

もう少し深く知りたい人へ

「締め切りがあると動く」という現象は、心理学で広く研究されている。パーキンソンの法則は「仕事は、完成のために与えられた時間いっぱいまで膨張する」という経験則だ。逆に言えば、締め切りを短く区切ることで、仕事を前に進める効果がある。毎週の1on1は、この「小さな締め切り」として機能している。

また、定期的に顔を合わせること自体の効果も見逃せない。心理学者ロバート・ザイアンスが提唱した「単純接触効果」によれば、人は繰り返し接触する相手に対して親近感を抱きやすい。1on1で「何を話すか」だけでなく、「定期的に話す機会がある」こと自体が、上司と部下の関係性を支えている可能性がある。

参考文献

  • C・ノースコート・パーキンソン『パーキンソンの法則』
  • Zajonc, R. B. (1968). Attitudinal effects of mere exposure. Journal of Personality and Social Psychology, 9(2), 1–27.

関連記事